モーサテ 3/13

主要ニュース

1. 米消費者物価上昇

 アメリカの労働省が発表した2月の消費者物価指数は、1年前から3.2%上昇し、伸び率が2カ月ぶりに加速しました。特に、住居費と交通サービスの価格上昇が目立ちました。

2. 米中小企業の景況感低下

 NFIBが発表した2月の中小企業楽観指数は89.4と、1月から0.5ポイント低下し、2023年5月以来、9カ月ぶりの低水準です。経営上、最も重要な課題として「インフレ」が挙げられました。

3. 中国のAI普及とその影響

 中国はAI大国を目指し、2030年までに約200兆円の市場規模を目標にAIの社会実装を進めています。しかし、AIの普及に伴い、クリエイターの仕事が減少し、業界内での軋轢も生まれています。

主要ニュースの概要

アメリカの消費者物価指数は、1年前から3.2%上昇し、伸び率が2カ月ぶりに加速しました。これは、住居費と交通サービスの価格上昇が大きく寄与しています。

一方、アメリカの中小企業の景況感は低下し、特に「インフレ」が経営上の課題となっています。

中国では、AIの普及が進み、2030年までに約200兆円の市場規模を目指しています。AI技術の進展は、ゲーム開発など多方面で革新をもたらしています。

しかし、AIの普及に伴い、クリエイターの仕事が減少し、業界内での軋轢も生まれています。これは、技術の革新が効率化とコスト削減をもたらす一方で、人間の役割や価値に関する深刻な問題を提示していることを示しています。

中国Tech界のAI普及は、技術革新とその影響に関する天使と悪魔の両面を持ち合わせていると言えるでしょう。

ニューヨーク市場リポート:米CPIの影響とAI関連銘柄の動向

株式市場の動き

12日のニューヨーク株式市場では、3大指数がそろって上昇しました。この日、注目されていた2月の米国消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回るものの、一部の指標は1月よりも減速していることが明らかになりました。

特に、コアCPIの上昇率は前月比で0.4%と予想の0.3%を上回りましたが、この数字は1月の0.358%からわずかに減少しています。また、CPIにおけるウェイトが高い帰属家賃の上昇率も、1月の0.6%から0.4%へと低下しました。

これらの結果は、市場の事前の警戒感を和らげ、特にITセクターを中心にリスクを取る動きを促しました。

さらに、オラクルなどの企業決算発表が株価上昇の一因となりました。オラクルは決算発表で10%を超える上昇を見せ、過去最高値を更新。クラウド売上の増加とAI製品への強い需要が背景にあります。

AI関連銘柄の現状と展望

AI関連銘柄は、年初から特にエヌビディアを中心に市場を牽引してきましたが、一部で利益確定の売りが見られるようになっています。

シュナイダー恵子氏は、AIが今後も市場を牽引する大きなテーマであり、ラリーで逆行安となったAI関連銘柄、特にAdobeに注目しています。

Adobeは、画像編集ソフトで高いシェアを持ち、AIサービス「ファイアフライ」を公開してAIへの需要を取り込む基盤を築いています。

しかし、オープンAIによる生成AI「Sora」の発表後、アドビの株価は一時的に下落しました。この動きにも関わらず、シュナイダー氏はプロのクリエイターがアドビから簡単に離れることはないと見ています。明日のAdobeの決算にも注目ですね。

また、Googleやその親会社アルファベットもAI分野で苦戦しており、今年の夏のパリオリンピックや秋の大統領選といったイベントによる広告需要の増加が期待されています。

市場見通し

為替見通し:YCC撤廃と円高の可能性

解説はBofA証券の山田修輔氏

YCC撤廃とは?

日本銀行(日銀)のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策撤廃についての議論が為替市場における円高要因として注目されています。

現行のYCC政策では、日銀は長期金利の上限を1%に設定し、必要に応じて国債を買い入れています。また、量の政策として、CPIインフレ率が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースを拡大し続ける方針を取っています。

※量の政策=CPIインフレ率の実績値が安定的に2%を越えるまでマネタリーベース拡大方針を継続

日銀の今後の方針

BofA証券の山田修輔氏によると、来週の日銀会合では、マイナス金利政策の撤廃がほぼ織り込まれており、追加の大幅な利上げについては市場があまり期待していないとのこと。しかし、YCC撤廃に関する最近の報道は、短期的には円高を引き起こす可能性があると指摘しています。

YCC撤廃の影響

YCC撤廃自体が円高要因となるかについては、複雑な要因が絡んでいます。日銀が国債の大量購入を続けることで、金利上昇の抑制に努めてきましたが、これが市場における金利の自然な上昇圧力を抑えている面があります。

日銀が国債購入を減らすことは、理論上は金利の上昇を促し、それが円高要因になる可能性があります。

しかし、現状では、国債の償還ペースと日銀の買い入れペースがほぼ一致しているため、買い入れの減少は実施が難しい状況にあります。

これが量的緩和政策(QT)への移行を意味すると、金利上昇の余地は限定的である可能性が高いと山田氏は述べています。

YCC政策の将来

来週の日銀の会合や植田総裁の記者会見では、将来的なQTについての発言が注目されるでしょう。もし積極的なQTに向けた発言があれば、ドル円が145円を割り込む可能性もあるとの見解です。

まとめ

YCC撤廃や量の政策の調整は、短期的に為替市場に影響を与える要因となり得ますが、長期的な円高要因となるかどうかは、日銀の政策方針や市場の反応に大きく依存します。

来週の日銀会合とその後の市場の動きに注目が集まりますね。

株価見通し:日経平均4万円超えと実体経済の回復

解説は第一生命経済研究所の藤代宏一氏

現在の市場環境

今日の東京市場は、米国の消費者物価指数の高止まりにもかかわらず、米国株の上昇と円安が日本株に追い風をもたらしています。現在の予想レンジは3万8500円から3万9100円とされています。

実体経済の回復が鍵

日経平均が4万円を超えるためには、実体経済の回復が不可欠です。

最近の円高や日本株の調整は、特に製造業を中心とした経済活動の回復に影響を及ぼしています。

製造業の業績は円安によって押し上げられる傾向にありますが、為替だけでは株価の絶対水準は決まらないため、株主還元の動向が今後の市場において重要な要素となります。

自社株買いの影響

自社株買いは企業業績にポジティブな影響を与えるため、昨年の大規模な自社株買い発表は市場にとって大きなニュースでした。

今後も相当な規模の自社株買いが期待されており、5月に向けて期待が高まっています。

内需の弱さと賃上げの必要性

一方で、国内経済の弱さは持続的な業績拡大を困難にしています。

実質GDP成長率が低迷しており、内需の回復はまだ遠い状況です。昨年の賃上げ機運の高まりにもかかわらず、実際には企業の賃上げが進んでいないことが示されています。

物価上昇率の鈍化が将来の賃金上昇率を低下させる可能性もありますが、企業にはまだ賃上げの余地があると述べられていました。

まとめ

日経平均が4万円を安定的に超えるためには、実体経済の回復が必要です。その鍵を握るのは、個人消費の増加と賃金と物価の好循環による内需の拡大です。投資家の安心感を得るためには、企業の賃上げや営業力の向上が期待されます。これにより、株価のさらなる上昇が期待できるでしょう。

【プロの眼】日米金融政策のすれ違いと為替変動への影響

解説は三井住友DSアセットマネジメントの吉川雅幸氏

日米金融政策の現状

現在の日米金融政策の動向は、為替市場における円高方向への進展を示唆しています。日本銀行のマイナス金利政策の解除とYCC(イールドカーブ・コントロール)の撤廃の見通しが高まる中、ドル円は146円台へと戻しています。一方で、アメリカでは年後半に向けた利下げへの期待が残っています。

日米の金利差の動向

今後、アメリカの10年債利回りが緩やかに低下する一方で、日本の10年債利回りが上昇することで、日米の金利差が縮小する可能性があります。

これにより、円が高くなりにくくなる要因として、日本の貿易構造の変化とアメリカの金利の水準感の変化が挙げられます。

貿易構造の変化

日本の貿易収支は、製造業の生産活動の海外移転やエネルギーを除く貿易収支の黒字縮小、サービス収支の赤字拡大などにより、黒字になりにくい構造に変化しています。これらの要因は、円高に向かう力を弱める可能性があります。

アメリカの金利水準の変化

サブプライム危機以降、アメリカの金融政策は低金利を維持していましたが、パンデミック終息後にインフレが主な問題となり、金融政策の方向性が変わりました。これにより、アメリカの金利水準が以前のレンジへと戻っており、為替レートのレンジも変化していると考えられています。

今後のドル円レンジ

今後、日米の金利差が縮小しても、円高が進む可能性は限定的であると予想されていました。

アメリカの経済波乱がなければ、大幅な円高にはなりにくいと見られています。ただし、アメリカの商業不動産問題や消費者物価の上振れなど、一定のリスク要因には注意が必要ですね。

まとめ

日米金融政策のすれ違いは、為替市場における円高方向への影響をもたらしていますが、貿易構造の変化やアメリカの金利水準の変化など、複数の要因が相互に作用することで、その影響は限定的なものに留まる可能性が高いです。