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主要ニュース

米バイデン大統領 USスチール買収に「懸念」表明か

  • バイデン大統領が日本製鉄によるUSスチールの買収に対し深刻な懸念を表明する見通し
  • 岸田総理大臣が4月に訪米する前に発表予定
  • USスチールの株価は12.8%下落

EU議会 AI規制 最終案を可決

  • EUのヨーロッパ議会がAIに関する規制の最終案を可決
  • 人権を脅かすAIの利用を認めず、企業にはAI製の画像や音声を明示することが義務付けられる
  • 違反した場合は最大3,500万ユーロ、もしくは年間売上高の7%に当たる制裁金が科される
  • 2026年から適用予定

米議会下院 TikTok禁止法案を可決

  • 米議会下院がTikTokの米国内での利用を禁止する法案を可決
  • バイトダンスに対し、半年以内に米国内での事業を売却するよう求める
  • 議会下院は賛成352、反対65で可決し、上院での審議が行われる見通し
  • TikTokは米国内で若者を中心に人気が高いため、使用禁止に慎重な意見も多い

【NY市場リポート】金利予想引き上げに警戒

解説は野村グループの藤井摩耶氏

13日のニューヨーク株式相場はほぼフラットで終了し、市場は金利の動向に警戒しています。特に注目されているのは、FOMCメンバーによるドットチャートの引き上げです。市場参加者は、強い経済指標とFRB高官からの慎重な発言が相次いでおり、そうした姿勢がドットチャートに反映される可能性があります。

ロイター社がエコノミストに対して実施したアンケート調査では、108名の回答者のうち 72名が初回利下げは6月と回答。追加質問に対しては、44名中38名がドッツが引き上げられるリスクが、ドッツが引き下げられるリスクよりも大きいと回答しています。

最近の市場では長期モメンタムファクターに陰りが見え始め、投資家の間で物色銘柄の変更の声が出始めていることを指摘しています。

モメンタム=勝ち組銘柄が好調を維持し、負け組銘柄が低調となる傾向

特にAI関連銘柄を中心に利益確定が入り、市場の雰囲気に変化が感じられると述べています。これまでの高パフォーマンス銘柄の利益確定や、投資戦略の変更により、シクリカル(景気敏感株)バリュー(割安株)、高配当株などのディフェンシブにローテーションが進むのではないかと考えます。

市場見通し

【為替見通し】ハト派的な正常化がドル円に及ぼす影響

解説はドイツ証券の小川和宏氏

もし日銀の金融政策の転換がハト派的であれば、ドル円の下値は限定的になるとの見通しです。現在、市場は3月の日銀政策変更を織り込み始めており、マイナス金利撤廃やYCCの撤廃が実行された場合、当初は円買いが進むと予想されます。

しかし、それが海外の中央銀行に見られるような連続的な利上げへとつながらなければ、「ハト派的な正常化」と捉えられ、その結果、ドル円の下値は140円台中盤までと見られています。

小川氏はさらに、現状の日米金利差が一定期間維持されることから、為替ボラティリティの低下と共に、金利差を利用した取引戦略が再び強まり、ドル円は上昇に転じると予測しています。

過去の例として、金利差が開いた期間中にドル円が上昇したケースを挙げ、現在の状況がそれに似ていると指摘しています。ただし、過去には金融危機がキャリートレードの終焉をもたらした例もあり、リスク管理の重要性も強調しています。

結論として、ドル円の将来の動向は、日銀の政策変更と、それが市場にどのように受け止められるかに大きく依存すると言えそうです。ハト派的な正常化が行われる場合、ドル円の下値は限定的であり、その後の金利差の動向によっては再び上昇の余地があるとの見解です。

【株価見通し】TOPIXと需給から見た今後の動向

解説はインベストラストの福永博之氏

現在の株価の動きには上値の重さが感じられ、特に為替市場の動向に警戒が必要です。需給面から見ると、信用取引の残高が16年7ヶ月ぶりの高水準に達しており、株価の上昇と買い残高の増加が連動しています。

また、信用取引の評価損益率が10年ぶりに改善していることも、市場の需給バランスが変化していることを示唆しています。

福永氏は、2007年のサブプライムショックと2014年の時期と比較して、現在の株価の動きと需給状況に注目しています。

過去の事例として、需給の悪化が株価の押し下げ要因になった例と、高値からの売り込み後に株価が上昇した例があります。

しかし、今回は評価損益の改善と買い残高の増加が同時に発生している点が異なり、これが市場にどのような影響をもたらすかが注目されます。

福永氏によれば、評価損益が改善し、買い残高が積み上がる中での株価下落は、上値が重くて買い残高が増える、増えたところで評価損益率が悪化してくると、損失が膨らんで、なおかつ信用取引の解消売りが出て出やすくなるので、信用取引の解消売りを引き起こしやすく、売り圧力を高める可能性があります。

上値重い→買い残高増加→評価損益率の悪化→損失増から信用取引解消へ→売り圧力高まる

そのため、目先の株価には注意が必要です。一方で、売買代金が高水準である限りは、これらの売りを吸収できる可能性がありますが、売買代金の増減にも注意を払い、今後の価格判断の材料とすることが重要です。

本日の特集

株高とインフレの関係性:日本経済の新たな展望 【プロの眼】

解説はみずほ銀行の唐鎌大輔氏

みずほ銀行の唐鎌大輔氏によると、最近の日本株の急騰はインフレの結果と捉えることができます。日本経済の金融政策は長年、デフレ脱却とインフレ目標達成に向けて動いてきましたが、これが株価上昇の一因となっている可能性があります。しかし、インフレは輸入品の価格上昇や通貨価値の低下をもたらし、社会全体のコスト増大に繋がります。

株価の上昇がインフレの結果である場合、日本経済に対する見方が変わりつつあると唐鎌氏は指摘します。しかし、これは諸刃の剣であり、先進国としての地位に疑問符が付くことも示唆されています。株価上昇率の国際比較では、日本が対ドルで通貨価値の低下を伴う国々と同列に扱われる傾向にあることが示され、これが日本経済の「中進国化」への懸念を生じさせています。

唐鎌氏は、日本の現在の状況を「パラダイムシフト」と捉えており、デフレからインフレへの移行を市場が織り込み始めていると分析しています。円相場については、実質実効為替レートが半世紀ぶりの安値にある現状から、名目上の円高や、インフレを通じた円高へのシフトが考えられます。特に、日本の人口予測からなる人手不足が、将来的なインフレ加速の根拠となり得るとしています。

今後の日本経済は、円安を前提とした上で、インバウンド需要の増加や直接投資の促進など、円安を活かす経済戦略が重要になると唐鎌氏は説明しています。このような状況下で、インフレ社会への移行は避けられないとしながらも、それが日本経済にとって必ずしも悪い意味ではなく、新たな成長機会をもたらす可能性があるとの見解を示しています。

選挙経済政策による市場への影響:「センキョノミクス」への警鐘

日本経済新聞の小竹洋之氏は、2024年に世界70カ国以上で実施される選挙を背景に、選挙目的の経済政策、通称「センキョノミクス」に警戒を呼びかけています。特にアメリカでは民主党と共和党がFRBの金利政策に対し、異なる圧力をかけており、これがSDGsの目標達成への影響をもたらす可能性があります。

選挙経済政策は、金融緩和の圧力、財政出動の増加、内向きな施策への傾倒の三つの要素を持ち、これが世界経済の歪みやインフレの再燃、公的債務の悪化を引き起こす恐れがあります。例えば、アメリカでは早期の利下げを民主党がFRBに迫り、バイデン大統領も利下げを期待している状況です。また、イギリスでは選挙を前にして財政出動が活発化しています。

小竹氏は、このような状況が、民主主義の健全性だけでなく、マクロ経済の安定性をも試すことになると指摘しています。