主要ニュース
- 2024年11月のアメリカ大統領選挙は、現職のジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領の間での再対決が確実視されており、バイデン大統領の脱炭素政策と電気自動車(EV)推進がバイデン大統領にとって逆風となっています。
- 日経平均株価の3月15日の終値予想は3万9400円とされ、短期的には円高に警戒しつつも、中長期的には円安傾向が続くと見られています。この分析は、日銀の金融政策や海外のデジタルサービス利用の増加などが影響しています。
- SDGsをテーマにした投資に対する関心が高まっており、特に気候変動対策に積極的に取り組む企業への投資が注目されています。SMBCアムンディクライメートアクションファンドとグローバルSDGs株式ファンドが特に高いリターンを示していることが報告されました。
【為替相場見通し】
解説は三菱UFJ信託銀行の横田裕矢氏
横田氏による今日の予想レンジ:1ドル146円10銭から147円70銭
横田氏は、日銀の金融政策修正期待の高まりが円買いを後押しし、約1カ月ぶりに146円台を記録したことを指摘。3月の新会合に注目が集まり、マイナス金利解除を巡る思惑から、上値の重さが意識されると予想しています。
金利差と需給動向が鍵を握る
円相場は、日米金利差と需給バランスを反映する。横田氏は、先週の毎月勤労統計の強い結果を受け、市場が3月会合でのマイナス金利解除を急速に織り込み始めたと分析。しかし、日銀が緩和的な金融環境の維持を示唆しているため、大幅な利上げへの懐疑的見方を示しています。
需給面からのアプローチ
新NISAによる投資フローと日本の国際収支、特にサービス収支が注目点。インバウンドの復活による旅行収支の改善と、デジタル赤字による構造的な円売り圧力に注目。横田さんは、海外のデジタルサービス利用の増加が円の流出となり、円安要因となると予想しています。
ドル円相場の先行き
日銀の次回金融政策決定会合を控え、短期的な円高に警戒。しかし、日銀による段階的な利上げが不透明なため、円高トレンドの持続は見込みにくいとの見解。アメリカの利下げ開始がドル円相場に影響を及ぼすものの、構造的な円売り需要により、その下落は緩やかに留まると横田氏は予想しています。
当面のドル円下値目途:140円
横田氏の分析を通じて、ドル円相場は短期的な変動性を持ちつつも、中長期的には構造的な要因により緩やかな下落傾向をたどると予想されます。
【株価見通し:海外投資家の物色動向は継続?】
解説は東海東京インテリジェンス・ラボの仙石誠氏
今日の予想レンジ:3万8850円から3万9500円
本日の日本株は下落予測
仙石氏は、米国の雇用統計による米国株の下落と為替の円高が日本株にとっての重しとなりうると予想。日銀の金融政策に対する思惑と、金融株の株価動向が注目点として挙げられています。
海外投資家の買い越しは継続
2023年に入り、海外投資家の日本株に対する買い越しが顕著であり、2月末までの累計で1.9兆円の買い越しを記録。仙石氏は、国内の売り越しを中心に、個人投資家や年金のリバランスを反映する信託銀行の売りが目立つと分析しています。
中長期的な見通し
短期的には売りが出るリスクがあるものの、中長期的には海外投資家による買い越しのスタンスが維持されると仙石氏は見ています。デフレからの脱却、賃金の上昇、投資の改革など、日本のポジティブな変化が続く限り、海外投資家の買いは継続すると予想。
物色動向の特徴
2023年における海外投資家の保有比率の上昇が、パフォーマンスの高い企業となっている一方で、保有比率が低い企業はパフォーマンスが低迷。仙石氏は、海外投資家の物色の中身があまり変わっていないことを特徴として指摘しています。
なぜ物色動向は変わらないのか
中長期的に日本株が変わることに対する期待が、海外投資家の物色の基本にあると仙石氏。特に、バリュエーションが低く、東証改革などに対する期待が高い業種が、今後も海外投資家によって物色される可能性が高いとの見方を示しています。
総括
仙石誠氏は、短期的には一部のリスクが存在するものの、海外投資家による日本株への買い越しは中長期的に続くと見ています。この動向は、日本の経済と株式市場の改革、成長に対する海外からの期待が反映されていると考えられます。
【米大統領選と金融市場の見通し】
BNPパリバ証券・中空麻奈氏による解説
アメリカ大統領選挙の行方と金融市場への影響を、様々なシナリオをもとに展望します。現状では、トランプ氏とバイデン氏の勝敗については、テレビの報道と実際のイメージにギャップがありますが、金融市場にとって重要なのは、どちらが勝利しても、その結果がどのようなマーケットにつながるかです。
悲惨指数を指標に
悲惨指数(失業率とインフレ率の合計)を用いて過去の大統領選と経済状況を分析すると、現職に追い風が吹いている可能性があります。しかし、足元の状況では少し上昇傾向にあるため、トランプ氏にとっての追い風に変わる可能性も指摘されています。
経済面が選挙の重要ポイント
経済は常に選挙の重要な要素ですが、今回の選挙では年齢問題や訴訟リスク、第三者の出現など、経済以外の要素も大きく関わってきます。過去の例では、経済状況よりも大事件が選挙結果に大きく影響したケースもあります。
政党による政策の違い
民主党と共和党、それぞれの政策の違いが金融市場に与える影響は大きく、特に政党が統一された場合の政策決定のスピードと方向性に注目が集まります。財政赤字、関税政策、気候変動対策など、具体的な政策によって市場の反応は大きく異なるでしょう。
市場への影響
統一政府の誕生は、ドルや金利のボラティリティを高め、特に共和党の全面的な勝利(レッドウェーブ)は、財政拡大や関税の導入によるドルの上昇リスクを高める可能性があります。また、株式市場においては、過去にレッドウェーブがあった年には、S&P 500が平均して約21%のリターンを記録していますが、米国債のデフォルトリスクなど、ポジティブな影響だけでなくリスク要因も考慮する必要があります。
大統領選と金融市場の関係を考察する際には、様々なシナリオを想定し、それぞれの政策変化や市場への影響を分析することが重要です。
【SDGsをテーマにした投資】
日興リサーチセンター藤原崇幸氏による解説
SDGsの基本と金融市場
2015年に国連で採択されたSDGsは、2030年までに達成すべき持続可能な開発目標を定め、全ての人が尊厳や平等が守られ、健康な生活を送りながら、持って生まれた能力を発揮できる社会を目指しています。SDGsは17の目標を含み、各国の達成度はSDSNがランキングで公表しており、北欧諸国が上位にランクインしています。
SDGsへの投資
金融庁もSDGsの達成を支援する方針を示し、多くの運用会社がESG投資の一環としてSDGsをテーマにしたファンドを提供しています。今回の解説では、特にSDGsに焦点を当て、直近3年間のリターンが高いファンドを取り上げました。
1位:SMBCアムンディクライメートアクションファンド
リターン: 年平均+17%
特徴: 気候変動対策に積極的に取り組む企業への投資。投資先企業の炭素強度が参考指数よりも低いことを目指しています。
2位:グローバルSDGs株式ファンド
特徴: リスクが最も低く、SDGsへの貢献が期待される企業への投資を行っています。ロベコのSDGフレームワークを利用して銘柄選定を行い、SDGsへのインパクト測定と管理を実施しています。
投資の将来性
SDGsの達成に向けては、政府や企業だけでなく、投資家も大きな役割を担っています。グリーンウォッシュのような問題を解決し、投資家が長期的な視点で安心して投資できる環境の整備が期待されています。
【モーサテサーベイ:経済の先行き予測】
日経平均株価とドル円、今週の終値予想
- 調査期間: 2024年3月8日〜10日
- 調査方法: インターネット経由
- 回答者数: 38人
2024年3月15日の日経平均株価の終値の中央値は3万9400円と予想されています。これは先週末の終値から300円近く低い水準です。半導体関連株の不振と内需株、特に金融株への買いが支える展開が見込まれ、序盤の売りからもみ合いに移行するとDZHフィナンシャルリサーチの東野さんは分析しています。
また、週末のドル円の終値は147円との中央値予想が出されました。マーケット・リスク・アドバイザリーの深谷さんは、日銀金融政策決定会合を前に政策修正の期待が大方織り込まれ、円高が一服するものの、円買い戻しの余地が残り、上値が重い市場になると予想しています。
景気先行指数
日本および海外の景気先行きに関する指数も発表されました。3カ月先の日本の景気を占う毛さ景気先行指数は28.9で、2週連続で悪化しています。アメリカ、ヨーロッパ、中国の景気も同様に悪化が見られるとのことです。
米大統領選 最前線 EV推進で強まる“バイデン離れ”
先週5日のスーパーチューズデーを経て、11月のアメリカ大統領選挙は現職のバイデン大統領とトランプ前大統領の再対決の構図が固まりました。こうした中、今、逆風が強まっているのが、現職のバイデン大統領です。脱炭素を掲げ、EV=電気自動車を推進してきたことで重要な支持層を失いつつあります。
2024年11月に実施されるアメリカ大統領選挙は、現職のジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領との間で再度の対決が予想されています。今回の選挙戦は、特に脱炭素政策と電気自動車(EV)推進を巡る政策が注目され、バイデン大統領にとって逆風が強まっている状況です。
中西部ミシガン州デトロイトでは、自動車産業の変革が大きな影響を与えています。バイデン大統領は、全米自動車労働組合(UAW)の支持を得ようとしていますが、労働者の間では一枚岩の支持を得られていない現実があります。特に、EVの普及による従来のエンジン関連の雇用の減少に対する不安から、一部の労働者はトランプ氏への支持を表明しています。
アメリカ経済は依然として好調を維持していますが、最新の世論調査では経済政策に対する信頼感においてバイデン氏がトランプ氏に11ポイント下回る結果が出ています。インフレの鎮静化は見られるものの、消費者の実感には時間がかかること、そしてバイデン氏の年齢に関する不安が彼の評価を下げているとの分析が示されています。
11月の選挙に向けて、バイデン氏とトランプ氏はそれぞれの支持基盤を固めつつ、激戦州であるミシガン州を含む中西部の自動車産業を中心とした州での選挙戦に注力していくことが予想されます。