主要ニュース
米生産者物価 予想上回る エネルギー上昇で
- アメリカの2月の生産者物価指数は1年前と比べて1.6%上昇。
- 前月比ベースでは0.6%のプラス。
- エネルギーや食品価格が上昇したことが全体を押し上げ。
- 食品とエネルギー、流通マージンを除いたコア指数は1月から0.4%のプラス。
米アドビ決算 売上高見通し 予想下回る
- アドビの売上高の見通しは市場予想を下回る。
- 2023年12月から2024年2月期の売上高は1年前から11%増。
- 調整後の1株利益は市場予想を上回る。
- デジタルメディア部門の売上高は12%増加。
- 3月から5月期の売上高の見通しは市場予想に届かない。
米前財務長官 TikTok買収に意欲
- ムニューシン前財務長官はTikTokの買収に意欲を示す。
- 議会下院がバイトダンスに対してアメリカ国内の事業売却を求める法案を可決。
- ムニューシン氏は「法案が成立し、TikTokは売却されるべきだ」との考えを示す。
ニュースの要約
1. 米生産者物価 予想上回る エネルギー上昇で
アメリカの2月の生産者物価指数は、エネルギーと食品価格の上昇を背景に、市場予想を上回る1.6%の年率上昇を記録しました。これは2023年9月以来の最大の伸び率で、前月比でも0.6%のプラスを記録しました。
2. 米アドビ決算 売上高見通し 予想下回る
アメリカのソフトウェア大手アドビは、生成AI需要の伸びが期待される中、売上高の見通しで市場予想を下回りました。しかし、2023年12月から2024年2月期の売上高は1年前から11%増え、3四半期連続で2桁の増収となりました。特にデジタルメディア部門の売上高は12%増加しました。
3. 米前財務長官 TikTok買収に意欲
アメリカのムニューシン前財務長官は、中国系動画投稿アプリTikTokの買収に意欲を示しました。これは、議会下院が運営するバイトダンスに対してアメリカ国内の事業売却を求める法案を可決した直後のことで、ムニューシン氏は「法案が成立し、TikTokは売却されるべきだ」との考えを示しました。
【NY市場リポート】インフレの減速兆しと家計資産増加が示す米経済の展望
解説はSMBC日興セキュリティーズ・アメリカの井野口志保氏
ニューヨーク証券取引所からの最新の報告によると、インフレの減速の兆しが見られる一方で、アメリカ家計の資産が増加していることが示されました。この混合された経済状況は、今後の金融政策と市場動向にどのような影響を与えるのでしょうか?
14日のニューヨーク株式相場は軟調な展開となりました。この背景には、物価生産者指数(PPI)で示された根強いインフレと、予想を下回った小売売上高があります。PPIでは、エネルギーと食品価格の上昇が目立ちましたが、サービス価格の伸びは減速しています。これにより、6月の利下げ期待が後退し、長期金利が上昇しました。
一方、賃金上昇率の落ち着きと共に、CPIとPPIのデータを重ね合わせることで、インフレが徐々に減速していることが明らかになりました。特に2月の雇用統計で平均時給の伸びが減速したことは、FRBによる年内利下げの自信へとつながる可能性があります。
しかし、アトランタ連邦準備銀行のボスティック総裁は、利下げ後に新たな需要が生まれ、インフレ圧力が高まる可能性を懸念しています。
これにより、市場の期待よりも利下げのペースが緩やかになる可能性が指摘されています。来週のFOMC会合では、利下げの開始時期と年内の利下げ回数の見通しに注目が集まることでしょう。
2月の小売売上高について、前月比で0.6%の増加にとどまり、市場予想を下回る結果となりました。このデータは、消費者の消費動向が徐々に弱まっている可能性を示唆しています。
しかし、井野口氏は、家計資産の増加を背景に、消費は底堅い水準を維持すると予測しています。FRBによると、家計と非営利団体の純資産は前年から11兆ドル以上増加し、過去最高を記録しました。これは株式市場の上昇や住宅価格の上昇が主な要因とされています。
家計の金融資産の増加と、負債の増加幅の縮小は、アメリカの個人消費を下支えする可能性があります。消費動向に影響を与える要素として、後払い決済サービスやクレジットカードの返済遅延が注目されていますが、家計全体の負債は大幅に増加していないため、資産価格の上昇が今後の消費を支えると井野口氏は見ています。
【為替見通し】日本のデフレ脱却と為替相場の未来
解説は高千穂大学の内田稔氏
日本経済のデフレ脱却宣言とそれが為替市場に及ぼす影響について、高千穂大学の内田稔氏が深く分析してました。アメリカのPPI発表後のドル高と日銀の政策方向性が、円相場にどのような影響を与えるのでしょうか?
内田氏によると、昨日のアメリカのPPI発表を受けてドルが全面高となった中で、日銀のマイナス金利解除観測が存在しますが、ドル円は底堅く推移すると予想されています。
特に注目されるのが、日本のデフレ脱却宣言までの距離感です。マーケットでは、来週もしくは来月の日銀会合でマイナス金利が解除されると見られており、その後の円高が警戒されています。日銀は過去にYCCの長期金利の上限を3回引き上げており、長期金利は上昇しているものの、為替市場では円安が進行しています。
この円安傾向の理由として、実質ベースでの日本の長期金利がマイナス圏にあり、他通貨と比較して低い状況、および日銀が金融緩和状況の継続を強調したため、金利上昇に対する市場の期待が形成されなかったことを挙げました。
マイナス金利の解除が円高材料となるかどうかは、日銀のスタンス次第です。日銀がマイナス金利解除を金融政策正常化の第一歩と位置づけ、市場に金利の先高感を植え付ければ、円高インパクトが持続するでしょう。しかし、日銀が緩和状況の継続を強調すれば、逆に円安要因となる可能性があります。
政府がデフレ脱却宣言を出すかどうかも、日銀の政策方向性に影響を受けます。政府が使用する四つの指標を見ると、CPIやGDPデフレータは高い伸びを示していますが、単位労働コストやGDPギャップは依然として0近辺での推移をしています。
政府によるデフレ脱却の定義というのが、物価が持続的に下落する状況を脱し、「再びそうした状況に戻る見込みがないことこと」と、デフレ脱却のハードルは少し高めに設定されています。
内田氏は、日銀が2013年に政府と共同声明を締結しており、正常化を慎重に進める姿勢を強調することで、マイナス金利解除に伴う円高インパクトは限定的に留まると見ています。
【株価見通し】株価短期調整局面の可能性
解説はみずほ証券の三浦豊氏
東京市場の今日の見通しでは、みずほ証券の三浦豊氏によると、株価は3万8200円から3万8700円の範囲で推移すると予想されます。米国株の下落を受け、円安の影響もありながら、週末を控えた手締まい売りから乱高下を伴い軟調に推移することが見込まれます。
特に、今週の日経平均の下落が目立ち、短期調整局面を示唆していると三浦氏は指摘します。先物オプションのSQ算出日とその後の動き、および裁定買い残の増加と解消による市場の動向が、今後の下値模索の動きに影響を与えると見られます。
オプションの建玉を見ると、投資家が上昇よりも下落を警戒していることが明らかであり、これが短期調整の一因と考えられます。今後の日経平均について三浦氏は、短期的な上げ下げを繰り返す局面に入る可能性があると述べ、4月のSQまでの自律反発を挟む短期調整局面に入ると予想します。
投資家にとっては、米国株安や円高が裁定回収売りを促し、短期的には3万7000円を維持するものの、4月末頃には3万6000円前後までの下落の可能性があると指摘されています。しかし、このような下落は過去にも頻繁に発生しており、通常の調整局面と捉えられるため、過度な懸念は不要との見方を示していました。
三浦氏は、SQが短期的な相場の転換点になりやすいとし、今後の戦略として3万9000円以上での戻り売り、3万7500円以下での押し買いが有効と述べています。
※SQ(スペシャル・クオテーション)とは、株価指数先物やオプション取引において、特定の日に算出される平均株価です。
金融市場における「今回は違う」の現象解説【プロの眼】
解説はフィデリティ投信の重見吉徳氏。
金融市場でよく耳にする「今回は違う」というフレーズについて解説します。この言葉は、特に金融危機に関する著名な書籍のタイトルとして使われ、金融市場のピークを示唆するサインとして解釈されることが多いです。
最近、「今回は違う」という言葉が聞かれる背景には、三つの主要な観点があります。第一に、現在の景気拡大が続いている状況は、従来の景気後退の兆しと異なるという見方があります。第二に、テクノロジー株の価値上昇がバブルではないという主張があり、これは実利益に裏付けられているとされます。最後に、資産価格の全般的な上昇が、今後インフレが加速するかもしれないという懸念を生んでいます。
重見氏は、この三つのポイントに加え、日米の金融政策が実際の経済状況と債務の問題に直面していることを指摘します。特に、政府の債務、中央銀行の準備預金問題、銀行の預金流出、そして民間企業の借入れ増加が、緩和政策を必要とする状況を作り出していると述べています。
分かりやすく解説していきましょう
まず、重見氏は「今回は違う」と言われる背景として、三つのポイントを挙げています
- 景気後退が来ないという予測: 今までの兆候とは異なり、景気が持続しているという考え方です。
- バブルではないという主張: 現在のテクノロジー株の上昇は、実際の利益に裏打ちされており、バブルではないという意見です。
- インフレの懸念: 様々な資産価格の上昇が、将来インフレが起こる可能性を示唆しています。
次に、重見氏は、金融政策や経済状況がこの「違う」という感覚にどう影響しているかを説明しています。政府の債務、中央銀行の準備預金、銀行の預金流出、そして民間企業の借入れといった問題が、経済政策に緩和を求めていると指摘しています。
しかし、重見氏は、金融市場が「今回は違う」という見方をしているとき、実際には歴史の繰り返しであることが多いと警告しています。長い歴史を見れば、インフレ懸念は何度も現れ、最終的にはインフレが実際に起こるというパターンがあります。
つまり、今回の状況も、過去の繰り返しである可能性が高いというわけです。
簡単に言うと、「今回は違う」という言葉を使う時には慎重であるべきで、経済の長い歴史の中で何が「本当に違う」のか、それとも単なる繰り返しに過ぎないのかを見極める必要があるということです。
本日のトピック 経済の風向きを読む
こんにちは、皆さん。今日は、朝のニュースを見逃した方や、経済に詳しくない方でも理解できるように、最近の経済ニュースのトピックを解説します。
1. UAゼンセンの賃上げ率が過去最高
まず、流通や外食の労働組合が所属するUAゼンセンが、2024年の春闘でパートタイム従業員の平均賃上げ率が過去最高の6.45%になったと発表しました。
正社員も5.91%アップで過去最高です。これは、イオングループが集中回答日を前に満額回答したことを受け、地方のスーパーでも人手確保のために賃上げする動きが出ているという事です。
これは、労働者にとっては喜ばしいニュースですが、企業にとっては人件費の増加という形でコストが上がるため、そのバランスをどのように取るかが今後の課題となります。
2. マイナス金利解除の影響は限定的
次に、全国銀行協会の加藤勝彦会長は、日本銀行がマイナス金利政策を解除した場合の住宅ローン市場への影響について、各社の個別判断としつつも、変動金利型のローンの基準となる短期プライムレートが「必ずしも上がるということではないのかなと思う」と述べました。
また、普通預金の金利についても「各行で異なるがマイナス金利が解除されても大きな動きは想定しづらい」との見方を示しました。
これは、金利の動きが我々の生活に直接的な影響を与えるということを示しています。
3. 米小売売上高、2カ月ぶりにプラスも予想下回る
最後に、アメリカの2月の小売売上高は1月から0.6%増加しました。2カ月ぶりにプラスに転じましたが、市場予想は下回りました。
業種別では「建設資材」や「自動車と関連部品」が増加した一方、「家具」や「衣料品」は減少しています。
これは、消費者の購買行動が変化していることを示しており、それぞれの業界にとっては新たな戦略を考えるきっかけになるでしょう。
以上、今日の経済ニュースの解説でした。経済の動きは我々の生活に直接的な影響を与えます。これからも、経済の動きを見つめ、それが我々の生活にどのように影響を与えるのかを考えていきましょう。それでは、また次回。