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金利差拡大でドル高・円安継続 モーサテトレンドナビ

TOPニュース

  • トランプ氏に対する判決で、ニューヨーク州最高裁判所が保証金の期限延長と減額を認める。
  • 日銀の金融政策決定会合の議事要旨から、マイナス金利解除後の政策運営について議論していたことが判明。
  • EUのヨーロッパ委員会が、新法であるデジタル市場法に基づき、米国のIT大手3社(アルファベット、アップル、メタ)の調査を開始。

ニュースの解説

アメリカのトランプ前大統領に関するニュースです。トランプ氏の一族企業の不正を巡る裁判で、ニューヨーク州の最高裁判所は、トランプ氏に多額の支払いを命じていました。

しかし、トランプ氏の請求を受け入れ、裁判所は支払いの期限を延長し、保証金の額も減らしました。これにより、トランプ氏は判断を歓迎し、保証金を支払うことを表明しました。

日銀が公表した議事要旨から、1月の会合でマイナス金利政策を解除した後の具体的な政策運営について議論していたことがわかりました。

委員からは、マイナス金利解除後の短期金利の誘導目標について、「0から0.1%の範囲での推移を促す」との指摘があった、国債の買い入れ継続に関する意見が出ていました。

EUのヨーロッパ委員会は、新しい法律であるデジタル市場法に基づき、アメリカのIT大手3社(アルファベット、アップル、メタ)の調査を開始しました。

これらの企業は、アプリストアの運営や個人データの取得において、不当な行為をしている疑いがもたれています。調査は1年以内に終了する予定で、違反が認められた企業には多額の制裁金が科せられる可能性があります。

【NY市場リポート】第1四半期最終週 相場は

解説は東海東京証券アメリカの芝田達裕氏

昨日のニューヨーク株式市場は、ハイテク企業への規制強化や航空業界の経営陣刷新などが話題となりました。

解説によると、

  • EUによるIT大手の調査開始でハイテク株が下落
  • 一方、ボーイングのCEO交代で同社株は上昇
  • ユナイテッド航空には運航制限の可能性から下落圧力

今週は第1四半期の最終週。29日に発表される個人消費支出物価指数(PCE)がインフレとFRBの金融政策を占う上で重要となりますが、当日は米国市場が休場のため影響は限定的。

四半期末の利益確定売りや投資家の慎重姿勢から、株価は調整色を強めるとの見方が示されました。

【為替見通し】円安基調は続くか?日米金利差に注目

解説はニッセイアセットマネジメントの松波俊哉氏

  • ドル円予想レンジ:151~151.90円
  • 注目ポイント:日米3カ月金利差5%超え局面

為替市場では、日米の金利差拡大を背景にドル高・円安基調が続くとの予想が示されました。松波氏は、日米3カ月金利差が5%を超える局面に着目。

過去のデータでは、そのような局面の7回中5回で円安が進行したといいます。

松波氏によると、現在の局面は2022年以降の貿易赤字や対外直接投資の急増を背景とした構造的な円安圧力下にあるとのこと。日本貿易会も今年の貿易赤字継続を示唆しており、対外直接投資もTOPIXに遅行して増加基調が続くと予想されています。

一方、海外投資家の日本株投資は活況ですが、為替ヘッジ付きが主流のため、1999年のような円買いフローにはつながりにくいと松波氏は指摘。

むしろ、ヘッジに伴う円売りフローが発生するため、日米金利差の拡大とあわせて円安基調が継続するとの見立てです。

仮に介入警戒感や金利差縮小観測から一時的にドル円が下落しても、調整は限定的とのこと。1999年を除く過去の日米金利差5%超え局面では、ドル円の調整幅は平均4.5%程度

松波氏は「現在の水準からすると145円割れが一つの目安になる」と述べつつ、「下落したタイミングはドル買い、円売りの好機」との見方を示しました。

松波氏のドル円予想レンジは151円~151.90円。構造的な円安圧力が根強い中、日米金利差の動向がカギを握りそうです。

金利差拡大を追い風に、ドル高・円安地合いの継続が予想されますが、年度末、週末の為替相場の急激な変動リスクには注意が必要です。

【株価見通し】小型株に注目!グロース市場に資金流入の兆し

解説はDZHフィナンシャルリサーチの東野幸利氏

  • 日経平均予想予想レンジ:40,200~40,550円
  • 注目ポイント:小型株の動向

東野氏が注目するのは小型株の動向です。日経平均が最高値を更新する一方、グロース市場指数は直近3四半期連続でプライム市場指数に出遅れているといいます。背景には以下の要因があるとのことです。

  • 小型株の流動性の低さから、海外投資家の買いが入りづらい
  • プライム銘柄の値動きの大きさから、個人投資家が敬遠
  • 小型株への継続的な資金流入が停滞

ただ、足元ではグロース市場の騰落レシオが改善し、値上がり銘柄数が増加しつつあります。東野氏によると、プライム市場の騰落レシオが先週末に130%超と過熱感を示す一方、グロース市場は90%台と冷え込んだ状態。

しかし、3月中旬を境に上昇に転じており、値上がり銘柄が値下がり銘柄を上回る「100%超え」になれば、資金流入が加速するとの見方を示しました。

過去のデータを見ると、旧マザーズ指数であるグロース250は、3月中旬の安値を起点に6月まで上昇を続ける傾向があるといいます。

東野氏は「今年も騰落レシオの改善とともに上昇し始めている。4月の東京市場では小型株の活躍に期待したい」と述べました。

日本株は割安感が意識される一方、グローバルマネーの選好度は依然低い状況です。しかし、バリュエーション面の魅力は徐々に海外投資家の関心を集めつつあります。

大型株中心の日経平均と比べ、小型株は出遅れ感が強い半面、上昇余地は大きいと言えるかもしれませんので、小型株を中心とした物色の広がりに注意しながら、中長期的な視点で日本株投資に臨むことが大切です。

インフレ時代の 投資戦略 従来の常識が通用しない?【プロの眼】

解説はマネックス証券の広木隆氏

物価上昇が進むインフレ時代。私たち消費者にとってはマイナスに感じられるインフレですが、経済や企業の収益性に与える影響は一様ではありません。

むしろ、これまでの投資の常識が覆される可能性すら出てきているのです。

インフレが進むと、企業は製品やサービスの価格を引き上げることができ、この価格上昇が受け入れられれば売上増につながります。加えて、円安は外貨建て売上を押し上げ、企業の収益性を高める効果も。一見するとインフレは企業業績にプラスに働くようです。

資産増加が必ずしも株価上昇に直結しない理由

しかし、ここで一つの疑問が生じます。インフレにより企業の保有資産価値は上昇するのに、なぜ株価は上がらないのでしょうか。マネックス証券の広木氏はこう指摘します。

「企業の資産増加は、必ずしも株価上昇に直結しません。なぜなら、資本効率の低下を招くからです。資産に対する利益率(ROA)や自己資本利益率(ROE)など、投資指標の分母が大きくなると、これらの数値は悪化してしまうのです。」

実は、資産成長が抑えられた企業ほど、投資パフォーマンスが良いことが知られています。

インフレ環境下での投資戦略としては、資産成長が抑えられ、効率的な資本運用を行う企業が好まれる傾向にあります。

これは「アセットグロースアノマリー」と呼ばれ、資産を増やさない企業ほど投資パフォーマンスが良いという現象を示しています。

簡単に説明すると以下の通りになります。

アセットグロースアノマリーとは、企業の総資産の伸びが大きいほど、将来の株式リターンが低くなる傾向のことを指します。

  1. 企業の総資産の増加は、資本効率の低下を招く可能性がある。
  2. 資本効率の低下は、将来のリターンの低下に繋がる。
  3. 日本の株式市場においても、総資産の伸びが大きい企業は翌年度のリターンが統計的に有意に低くなることが実証されている。

つまり、アセットグロースアノマリーは、企業の総資産の伸びと将来の株式リターンに負の相関関係があることを示唆しています。

キャッシュリッチな企業は不利に?無形資産投資も冷遇

インフレは他の投資指標にも影響を及ぼします。例えば、「ネットキャッシュ比率」の高い、つまりキャッシュリッチな企業は、かつては好パフォーマンスでした。しかし、ここ2年はその逆転現象が見られるのだそうです。

広木氏は言います。「デフレ時代はキャッシュが王様でしたが、インフレ時代はむしろお金を持っていては不利になるのです。」

同様に、研究開発費に代表される無形資産投資の多寡と株価リターンの関係性にも変化が。これまでは研究開発比率の高い企業の株価パフォーマンスが良好でしたが、足元ではその優位性が失われつつあります。

新時代の投資戦略を模索すべき時

このように、インフレという新しい経済環境は、我々投資家に投資手法の見直しを迫っています。かつて有効だった戦略が、むしろ逆効果となるリスクすらあるのです。

広木氏は次のように締めくくります。「インフレ時代に突入した今、投資家の皆さんには新たな投資戦略の模索が求められます。従来の常識に囚われず、この新時代に適応した発想の転換が必要ではないでしょうか。」

変化の時代だからこそ、投資の基本に立ち返り、経済環境と向き合う姿勢が大切になりそうです。皆さんも、ぜひ参考にしてみてください。

肥満症治療薬市場、2030年に13倍の800億ドルへ【アメ株Update】

解説は東海東京証券アメリカの芝田達裕氏

概要

  • 世界の肥満人口増加を背景に、肥満症治療薬市場が急拡大
  • 2030年には市場規模が800億ドルに達する見通し
  • 業界をリードするイーライリリーとノボ・ノルディスクの2社に注目
  • 飲み薬の登場が普及拡大のカギを握る
  • 原料調達や保険適用、副作用訴訟がリスク要因

肥満人口の増加と健康リスク

世界的に肥満人口が増加の一途をたどっています。2020年時点で世界の肥満と過体重の人口は26億人、全体の38%に達し、2035年にはその割合が51%、40億人を超えると予測されています。

肥満は糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のリスク要因であり、放置すれば心筋梗塞や脳卒中など重大な疾患へと進行します。2019年のデータでは、肥満が死亡リスク要因の上位5位に入っています。

急拡大する肥満症治療薬市場

こうした中、肥満症治療薬の市場が急速に拡大しています。

現在、この分野をリードするノボ・ノルディスクとイーライリリーの2社合計の売上高は、2023年に60億ドル程度。

それがブルームバーグ・インテリジェンスの予想では、2030年には業界全体で13倍の800億ドルに達し、その9割を両社が占めるとみられています。

この予測は、世界の肥満人口の増加や治療薬の価格低減を考慮しても保守的な水準であり、市場のさらなる拡大が期待できます。

業界リーダーの動向と株価への影響

イーライリリーは売上高の6割を糖尿病治療関連の薬品が占めるアメリカの製薬大手。

同社の肥満症治療薬は高い減量効果が示唆されており、急速に販売を伸ばしています。この追い風を受け、同社株価は年初から堅調に推移しています。

デンマークの製薬大手ノボ・ノルディスクは、糖尿病と肥満症の治療薬で売上高の9割以上を占め、業界初の肥満症治療薬を発売したパイオニア的存在です。

普及拡大のカギは「飲み薬」

現在の肥満症治療薬は注射タイプですが、両社とも飲み薬の開発を進めています。ノボ・ノルディスクは最近、初期段階の試験で飲み薬による13%の体重減少に成功したと発表。

患者の抵抗感や手間が軽減される飲み薬の登場が、市場拡大の鍵を握ると期待されています。

リスク要因も念頭に

ただし、原料の調達や医療保険の適用範囲、副作用を巡る訴訟などがリスク要因として挙げられます。1年間の投与費用が1万ドルを超える高額な治療薬だけに、保険適用の程度が普及ペースを大きく左右しそうです。

まとめ

肥満症治療薬市場は、2030年に800億ドル規模への拡大が見込まれます。イーライリリーとノボ・ノルディスクの2社が業界をリードする中、飲み薬の登場が普及のカギを握ります。

リスク要因にも注意しつつ、関連銘柄の動向から目が離せません。皆さんも、この成長市場を中長期的な視点で捉え、関連銘柄の調査を進めてみてはいかがでしょうか。