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円安水準の更新
- 27日の外国為替市場で、円相場は一時1ドル=151円97銭に達し、約33年8カ月ぶりの円安水準となった。
- 財務省、金融庁、日銀が緊急の情報交換会合を開催。
日銀の金融政策発言
- 日銀の田村審議委員が金融政策の正常化に向けた発言を行い、円安を加速させた。
中国とアメリカの経済関係
- 習近平国家主席がアメリカの企業経営者と会談し、中国への投資拡大を呼びかけた。
- 米国のイエレン財務長官は中国の補助金政策による過剰供給の懸念を示し、次回訪中時に議題にすると述べた。
ニュース要約記事
33年ぶりの円安水準、政府・日銀が対応を模索
2023年3月27日、日本の円相場が一時1ドル=151円97銭に達し、約33年8カ月ぶりの円安水準を記録しました。
この動きは、日銀の田村審議委員が金融政策の正常化に向けた発言をしたことがきっかけで、円売り・ドル買いの動きが加速。
政府と日銀はこの円安進行を受け、緊急の情報交換会合を開催を受け一時、151円付近まで下落しました。
一方、中国では習近平国家主席がアメリカの企業経営者との会談を行い、中国への投資拡大を呼びかけています。この動きは、米中経済関係の改善を目指すもので、習氏は米中が経済協力を深めるべきだと強調しました。
しかし、米国からは中国の補助金政策による過剰供給への懸念が示されており、財務長官イエレン氏は次回の中国訪問でこの問題を議論するとしています。
【NY市場リポート】”IPO復活”で注目は…
解説は岡三証券NYの荻原裕司氏
27日のニューヨーク株式相場は、3指数とも上昇しました。景気敏感株やディフェンシブ株、出遅れ感のある銘柄まで幅広く買われる中、注目を集めているのがIPO市場の盛り上がりです。
岡三証券NYの荻原裕司氏によると、2022年と2023年のIPO件数は金融危機以降で最低水準でしたが、今年はすでに30件に達しており、過去2年間と比べ順調なペースとなっています。
先週上場したレディットや半導体関連企業のアステラ・ラブズが公開価格を大幅に上回る水準で推移していることも、今後IPOを検討している企業にとって追い風になると考えられます。
IPOの活発化は、市場全体の活性化にもつながります。特に、JPモルガンやゴールドマン・サックスなどの大手金融機関は、幹事業務の手数料収入増加により収益拡大が期待できます。
さらに、M&Aの取引金額も昨年から回復基調にあり、投資銀行業務に強いこれらの金融機関にとって追い風となるでしょう。
米好調な経済 背景に移民
先週のFOMC(連邦公開市場委員会)では、米国経済の好調ぶりが示されました。その背景にあるのが、人口増加です。
議会予算局は、昨年と今年の人口伸び率が1%を超え、約20年ぶりの高水準になると予想しています。この上方修正の主な要因は、予想以上の移民の増加でした。
移民の増加は、2023年と2024年の実質個人消費を0.2%ポイント、実質GDPを0.1%ポイント押し上げる効果があると、ブルッキングス研究所の調査で示されています。
移民は主に教育、ヘルスケアの分野で雇用され、雇用者数の増加に貢献してるとのこと。また、移民の労働市場への流入は、労働市場の過熱を抑え、インフレ抑制にも一役買っています。
コロナ禍前は月10万人前後と推測されていた持続可能な雇用成長は、移民増加を考慮すると月20万人前後に増えています。
これは、高水準での雇用者数の伸びが続く一方で、賃金上昇率が鈍化していることの裏付けとなります。
米国経済が急激に失速せず、想定外の高インフレも落ち着き、ソフトランディングへの期待が高まっている背景には、移民の流入があると言えるでしょう。
IPO市場の復活と移民増加による経済の底支えが、今後のNY市場を左右する重要なポイントとなりそうです。
【為替見通し】年度期初のドル円動向に注目
解説は三菱UFJ信託銀行の酒井基成氏
- ドル円予想レンジ:150.5~152円
- 注目ポイント:年度期初のドル円動向
昨日のドル円は、日銀審議委員の「ゆっくりと着実に正常化を進める」との発言を受けて151円97銭まで上昇しましたが、その後、財務省、日銀、金融庁の3者会合開催を受けて151円近くまで下落しました。
本日は、明日29日のイースター休暇で実質的な月末となるため、東京時間は実需に紐づくフローが見込まれる中、150円台後半で推移しそうです。
年度期初にあたる4月から6月にかけてのドル円の値動きに注目
過去7年の傾向を見ると、この時期はドル円が上昇する傾向にあります。これは、米株上昇に伴うリスクオンの円売りと、日本の機関投資家が外債投資を積み増す傾向があるためだと推察されます。過去の傾向から、今年もドル円は底堅く推移する可能性があるとのことです。
ただし、今年は日銀がマイナス金利を撤廃し、正常化に向けた第一歩を踏み出しました。この点について、酒井氏は過去の日銀利上げ時の為替動向を分析しています。
その結果、日経平均株価は政策変更後にほぼ横ばいで推移し、ドル円も利上げ後は底堅く推移していることがわかりました。
一般的に日本の政策金利引き上げはドル円下落に繋がると思われがちですが、必ずしもそうではないようです。
この理由として、酒井氏は株式市場が堅調でリスク選好的だったことを挙げています。過去の利上げ時は、日本のバブル経済やアメリカのITバブル、景気拡大局面など、日米ともに株価が堅調な時期でした。
そのため、今回のマイナス金利撤廃後のドル円の下落余地は限定的で、年度期初のドル円は底堅く推移すると予想されます。
日銀が追加利上げを急がない方針の中、米国の利下げも限定的なものにとどまるとの見込みが続く状況では、ドル円は当局の介入に注意しながらも、当面は150円近辺での推移が続きそうです。
年度替わりを迎える中、為替市場では季節的な資金フローに加え、日銀の政策変更の影響にも注目が集まります。
過去の傾向や現在の経済状況を踏まえると、ドル円は底堅い動きが期待できそうですが、予期せぬ要因にも注意が必要です。為替相場の動向が、企業業績や海外投資家の動向にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していきたいところです。
日銀は金利をどこまで引き上げるか?【プロの眼】
解説は科学技術振興機構の鵜飼博史氏
マイナス金利の解除を表明し、金融政策を大きく転換した日銀だが、一方で市場は当面の金利上昇を織り込んでいないと言われる。過去のデータをもとに日本経済にどんな影響を与えるのか?
日本銀行が長年続けてきたマイナス金利政策からの転換を表明し、市場は大きな反応を見せています。しかし、市場関係者の間では、先行きの金利見通しがまだ低く抑えられているという指摘もあるのをご存知でしょうか。
鵜飼博史氏によると、現在の政策金利は「テイラールール」や「平均インフレ目標」といった経済指標から導き出される適正金利と大きく乖離しているそうです。
例えば、テイラールールでは4〜6%、平均インフレ目標でも0.8%以上の金利水準が望ましいとされているのに対し、現在の政策金利はゼロ%近辺にとどまっています。つまり、日銀は経済の実勢に対して「後追いの姿勢」を取り続けているというわけです。
後追いの姿勢の副作用
1つ目は、資産価格バブルのリスクです。1980年代後半のバブル経済期を例に挙げ、「ブラックマンデー後の低金利永続化期待」と「企業の増益期待の高まり」が重なったことで、株価や地価が急騰したと説明。現在の状況にも、当時と類似した面があると言います。
2つ目は、円安によるマイナス面です。かつての円安は輸出促進に一定の効果がありましたが、近年はその効果が小さくなっている一方、実質賃金の低下を招くデメリットの方が目立ち始めているとのこと。
日銀はいつ頃から利上げを開始し、政策金利はどこまで上昇するのでしょうか。
鵜飼氏の予想では、日銀は今年10月から利上げを開始。最終的な着地点となる中立金利は、自然利子率とインフレ率の合計で概ね2%前後になるそうです。
ただ当面は、企業や家計にインフレ期待を定着させるために緩和的な環境を維持しつつ、再来年頃までに1%を超える水準まで徐々に引き上げていくのが適切だと述べていました。
“モディ1強”が鮮明に? インド総選挙【日経朝特急プラス】
解説は日本経済新聞のインドや中東に詳しい山田剛氏
概要
- インド総選挙が4月から6月にかけて実施され、モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)の圧勝が予想されている。
- インドは世界最大の民主主義国家であり、有権者数は9億7000万人に上る。
- モディ政権は好調な経済や国際社会でのプレゼンス向上により高い支持を得ているが、インフレや失業率の高さなどの課題も残る。
重要ポイント
- インドは人口が14億人を超え、中国を抜いて世界最大の人口大国となった。
- 選挙は小選挙区制で行われ、国会下院の543議席が争われる。
- 与党BJPは前回の338議席を上回る370議席獲得を目指している。
- モディ政権の支持率は高いが、インフレや若年層の高い失業率などの課題がある。
- 野党連合は結束が取れておらず、与党に対抗するのが難しい状況にある。
まとめ
インド総選挙が始まります。世界最大の民主主義国家と呼ばれるインドの行方は、私たち一人ひとりにとって無関心ではいられない問題かもしれません。
現在のインドでは、ナレンドラ・モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)の圧勝が予想されています。モディ政権は、力強い経済成長を実現し、多くの国民から支持を集めてきました。しかし、その一方で、物価の上昇や失業問題など、解決すべき課題も抱えているのです。
野党は、これらの問題を指摘し、政権を批判していますが、残念ながら十分な結束が取れていないのが現状です。さらに気がかりなのは、政府が野党を弾圧しているのではないかと疑われるような出来事が相次いでいることです。
民主主義という概念は、私たちにとって当たり前のように感じられるかもしれません。しかし、それを維持し、発展させていくためには、絶え間ない努力が必要なのです。
インドの総選挙は、まさにそのような努力の一環と言えるでしょう。選挙結果は、インドの未来を左右する重要な分岐点になるかもしれません。