主要ニュース
- 米国の民間雇用と求人数が市場予想を下回る
- 米FRBパウエル議長が2024年の利下げに言及
- スーパーチューズデーでトランプ氏が圧勝
ADP雇用 14万人増 予想下回る
アメリカの雇用サービス会社ADPが発表した2月の民間雇用者数は1月から14万人増加し、市場予想を下回りました。「レジャー・接客業」や「建設業」などで増加した一方、情報セクターはマイナスとなりました。賃金上昇率は5.1%で2021年8月以来、最も低い水準となっています。
米求人(アメリカの1月のJOLTS)わずかに減少 予想も下回る
アメリカの1月のJOLTS=雇用動向調査によりますと、非農業部門の求人数は12月からわずかに減った886万3,000人となりました。市場予想も小幅に下回っています。雇用主による労働者への需要を計る「求人率」は5.3%と12月から横ばいでした。
米FRBパウエル議長「2024年のある時点で利下げへ」
FRBのパウエル議長は6日、アメリカ議会下院で証言し、「2024年のある時点で利下げに転じる」との見通しを示しました。「経済が想定通りに進展すれば、2024年のある時点で利下げに転じるのが適切だろう」と述べ、年内に利下げが可能だとの見通しを改めて示しました。
ただ、具体的な時期については「インフレ率が2%に向かって持続的に低下している自信を深めるまで利下げしない」という従来の立場を繰り返しています。また、アメリカ経済の過熱感に対し懸念を見せる場面もありました。
市場見通し
為替展望
解説はあおぞら銀行の諸我晃氏
ドル円予想レンジと円金利動向
今日のドル円予想レンジは148円50銭から150円ちょうどとされています。諸我氏は、FRBパウエル議長の議会証言がほぼ予想通りであったものの、アメリカ金利の低下に伴うドル売りでドル円が149円台前半まで下落したと指摘します。今後、ECBの動向や雇用統計などのイベントを控えており、ドル円相場は上値が重い展開となりそうです。
円金利の動向に関して、日銀のマイナス金利解除が見込まれる中で、市場は1年以内に2回程度の利上げを織り込んでいると諸我氏は述べています。OISオーバーナイトインデックススワップ市場では、1年後の1カ月金利が0.29パーセントと、次の利上げも織り込まれていることが示されました。
長期金利に関しては、10年金利と2年金利の推移を見ると、2年金利の上昇に対して10年金利の上昇が抑制されています。これは、日銀の内田副総裁からの発言などが背景にあると考えられます。しかし、マイナス金利解除の際には、長期金利に上昇圧力がかかる可能性があるとのことでした。
総合的に見ると、ドル円相場の上値は徐々に重くなりそうであり、円金利の動向が為替相場に与える影響に注目が集まっています。
株価展望
解説は和キャピタルの村松一之氏
日本株への今後の試練と市場動向
日本株市場は現在非常に好調です。米国株市場と同様に、日経平均も強いスタートを切っていますが、村松氏は、日米株式市場が好調であることは間違いないが、日本株には今後2つの大きな試練があると指摘しています。
- 日本株の割安感の解消:日本株は、他の主要国と比べても割高な水準に達しており、投資家の関心が割安さから日本企業のファンダメンタルズへと移行していくとの予測でした。特に、企業の成長力に不可欠な設備投資の遅れが気になるポイントです。
- 経営改革の遅れ:日本企業は、インフレ時代を先取りして株価が上昇しているものの、企業のバランスシートの構成がまだデフレ時代のものであるため、ギャップが生じています。この状況は、株の持続的な上昇がいずれ頭打ちになるリスクをはらんでいます。
これらの試練にどう対応するかが、今後の日本株市場の動向を左右することになりそうです。
本日の特集
商業用不動産の未来と金融機関の対応
商業用不動産市場は、今後数年間で借り替えが増加すると予想されており、これは懸念材料の一つとされています。
高金利が続くと、商業不動産マーケットの先行きは暗くなる可能性がありますが、一方で返済が行き詰まった案件に対して売りが出るタイミングで割安になった物件への投資意欲を示す投資家も増えています。
パウエル議長は金融機関の監督機関としてのモニタリングを行い、適切な指導によって商業用不動産のリスクが管理可能であるとの自信を示しました。
オフィスビルと集合住宅が特に逆風にさらされており、空室率の上昇と金利コストの増加がオーナーの資金繰りを圧迫しています。
金融危機以降、大手銀行はリスクを避ける傾向が強まり、商業用不動産への融資を控えてきましたが、中小規模の銀行やノンバンクなど他の金融機関がこのギャップを埋めてきました。
ECBの利下げ時期と賃金動向の分析
ECBの理事会において、利下げの時期が大きな焦点となっています。ユーロ圏のインフレはピーク時の10%を超える水準から落ち着いてきており、現在は2%台まで低下しました。
しかし、エネルギー価格の下落が主な要因であり、サービス価格は依然として高止まりしている状況、ECBは賃金動向を重要な指標と見ており、賃金の上昇がインフレにどう影響するかを注視しています。
ユーロ圏には全域をカバーする月次の賃金統計がなく、賃金指標の発表タイミングが遅いため、実態把握が難しいという課題があります。
最近の妥結賃金の数字は、前年比でわずかに低下しているものの、利下げに踏み切るにはまだ高い水準にあるので、ECBは賃金トラッカーという指標を用いて労使交渉の結果をより早いタイミングで把握しようとしていますが、この指標も賃金の高止まりを示しており、利下げの条件が整ったとは言えない状況です。