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米国の求人状況
- 2月の非農業部門の求人数は875万6,000人。
- 3カ月ぶりに小幅増加。
- 「金融・保険」業種が増加、「情報」業種が減少。
- 自発的離職率は4カ月連続で2.2%、2020年9月以来の低水準。
イラン大使館空爆
- イラン大使館がイスラエルによるとみられる空爆で破壊。
- イランの最高指導者が報復を宣言。
- 攻撃でイラン革命防衛隊の将官含む13人死亡。
- 中東の軍事的衝突リスク増大で原油価格上昇。
日本の社会保障と経済成長
- 内閣府が2060年度までの長期試算を発表。
- 経済成長率を1%以上にすることが社会保障の安定に必要。
- 生産性向上、出生率上昇、医療・介護制度の改革が鍵。
ニュース要約
最近の米国の雇用動向調査(JOLTS)によると、2月の非農業部門求人数が875万6,000人に達し、過去3カ月で初めて増加しました。
特に「金融・保険」分野での求人が増加した一方で、「情報」分野では減少が見られました。また、自発的に仕事を辞める人の割合は、4カ月連続で2.2%と2020年以来の低い水準を維持しています。
一方、シリアのダマスカスにあるイラン大使館が空爆され、イランの最高指導者が報復を示唆しました。
この攻撃でイラン革命防衛隊の将官を含む13人が死亡し、中東の軍事的緊張が高まっています。この結果、ニューヨークの原油先物価格が約5カ月ぶりに85ドル台に上昇しました。
日本では、内閣府が2060年度までの経済と社会保障に関する長期試算を公開しました。
この報告によると、社会保障の安定維持には年平均1%以上の経済成長が必要であり、これを達成するためには生産性の向上、出生率の上昇、医療及び介護制度の改革が必要とされています。
【NY市場リポート】テスラ先行きに懸念
解説は東海東京証券アメリカの中川幾代氏
4月2日のニューヨーク株式市場は軟調に推移しました。背景には、依然として高止まりが続くインフレと、それに伴う金融引き締め政策の長期化への警戒感があります。
特に注目を集めたのが、電気自動車(EV)大手のテスラです。同社が発表した1-3月期の納車台数は、前年同期比で8.5%減と市場予想を大きく下回りました。この日のテスラ株は約5%下落し、市場全体の重しとなりました。
東海東京証券アメリカの中川幾代氏は、テスラの苦戦について次のように分析します。
「テスラは供給網の混乱や工場の操業停止などを要因に挙げていますが、市場が懸念しているのはEV需要の減退です。新興EVメーカーの販売不振や中国勢との競争激化など、厳しい事業環境が続くでしょう」
一方、中川氏は製薬業界におけるAI活用に大きな可能性を見出しています。
「新薬開発へのAIの導入は、コストと時間の大幅な削減につながり、医薬品市場に年間600億~1100億ドルの経済効果をもたらすと試算されています。製薬大手とAI企業の提携が活発化しており、今後数年で買収案件が増えると予想されます」
実際、製薬大手とAIバイオ技術のスタートアップとの提携件数は過去10年で急増。取引総額は140億ドル規模に達しています。
また、NVIDIA社などの半導体企業も創薬のAI化を支援しており、業界を挙げての取り組みが本格化しつつあります。
【為替見通し】円買い介入のリスクが高まるドル円相場
解説はシティグループ証券の高島修氏
- ドル円予想レンジ:150.75~152.25円
- 注目ポイント:円買い介入の可能性を占う
シティグループ証券の高島修氏によると、現在のドル円相場は、円買い介入のリスクが高まる水準にあるとのことです。
「先週開かれた財務省、金融庁、日銀による3者会合では、『必要なら断固たる措置を取る』という強い言葉が飛び出しました。これは介入実施を示唆するキーワードです。もしドル円が152円を超えるようなら、いつ円買い介入が行われてもおかしくありません」
では、当局はどのように介入の判断を下すのでしょうか。高島氏は次のように説明します。
「当局は、円安や円高のスピード感だけでなく、絶対的な水準、政治環境、国際関係、市場への影響など、さまざまな要素を総合的に判断します。特に最近は、円安によるインフレが政治的にも社会的にも不人気で、政権支持率にも影響を与えている可能性があります」
興味深いのは、円安・円高を占う上で、意外な指標が重要だということです。
「注目したいのは人民元(中国の通貨)の動きです。過去を振り返ると、1元=20円を超えて円安が進むと、円安けん制発言が出たり、緊急会議が開かれたりしてきました。現在の人民元円レートはその水準を超え始めており、日本政府の警戒感の高まりと一致しています」
外国為替市場の動向は、輸出入企業の業績のみならず、私たち消費者の生活にも直結する重要なテーマです。為替レートの変動を注意深く見守りながら、賢明な選択を心がけたいものですね。
【株価見通し】円安と物価高が日本株を支える展望
解説は楽天証券経済研究所の香川睦氏
- 日経平均予想レンジ:39,500~39,900円
- 注目ポイント:円相場と円の購買力下落
今回は、円安と物価高という2つの要因が日本株にどのような影響を与えるのか、楽天証券経済研究所の香川睦氏の解説をもとに記事を書いていきます。
まず、香川氏は円相場に着目します。「主要通貨に対して円が下落しているのは、日本の物価高につながる一方で、輸出企業や多国籍企業の業績を押し上げる要因になります」と指摘。つまり、円安は日本株の上昇トレンドを支える力になっているというわけです。
もう一つの注目ポイントが、円の購買力の下落です。香川氏によると、円の実力を示す「実質実効為替レート」が50年ぶりの低水準まで下がってきているとのこと。「物価高の中で、国内の現金・預金の価値が目減りしている状況は、個人投資家に株式投資を後押しする可能性があります」と分析します。
そうした環境の中で、日本株の見通しはどうなるのでしょうか。香川氏は、「春闘で賃上げの機運が高まり、企業業績の拡大が確認されれば、海外投資家の買いが日本株の上昇を支えるでしょう」と予想します。
具体的な日経平均株価の上昇余地について、香川氏はこう試算します。
「もし新年度の企業業績が前年比8%の増益となり、株価収益率(PER)が17倍まで上昇すれば、日経平均は年末に43,000円を超える可能性もあります」
ただし、これはあくまで一つのシナリオです。実際の株価は、企業業績や投資家心理など、さまざまな要因の影響を受けます。投資の際は、自身のリスク許容度をよく見極めた上で、長期的な視点を持つことが大切ですね。
中国経済 真のアキレス腱とは?【プロの眼】
解説はUBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木大樹氏
注目ポイント
- 中国経済の「真のアキレス腱」は経常収支の赤字リスク
- 不動産不況や消費の冷え込みは続いているが、国内の貯蓄超過により経済全体へのリスク波及は限定的
- 経常黒字の維持が中国経済の課題。コロナ禍での世界的需要拡大による輸出増は続かない可能性が高い
- 経常収支が赤字化すれば、財政赤字と合わせて「双子の赤字」となり、人民元安圧力が高まるリスクがある
- 中国は米ドルのような基軸通貨を持たないため、通貨安を容易に許容できない
中国経済の行方は世界経済に大きな影響を与えます。不動産不況や景気減速が続く中、UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木大樹氏は、中国経済の「真のアキレス腱」として経常収支の赤字リスクに注目しています。
中国の不動産市況は低迷が続き、70都市の既存住宅価格は22カ月連続で前年割れとなっています。消費も大きく冷え込み、小売売上高の伸びはコロナ前の半分程度にとどまっています。
ただ青木氏は、不動産不況はすぐに中国経済全体のシステミックリスクにはつながらないとみています。
その理由は、中国の経常収支が黒字を維持し、国内に貯蓄超過があるためです。不動産不況で一部の銀行や地方政府にリスクはあるものの、財政赤字は国内資金で賄いやすく、すぐに経済全体への波及は避けられると青木氏は指摘します。
ただし、経常黒字の維持は中国にとって大きな課題です。コロナ禍での世界的な需要拡大による輸出増が黒字を支えてきましたが、これは続かない可能性が高いとのこと。米中対立の激化も輸出の下押し要因となりえます。
もし経常収支が赤字に転落すれば、財政赤字と合わせて「双子の赤字」となり、人民元安圧力が高まります。中国は米ドルのような基軸通貨を持たないため、通貨安を容易に許容できないのです。中国は自国内での製造割合を高める「内製化」を進めていますが、海外で稼ぐ力はまだ十分ではありません。
今後、中国の経常収支が赤字に陥るようなら、人民元安ショックがリスクシナリオとして意識される可能性があります。中国経済への依存度が高い日本や欧州の経済・市場にとってはマイナス要因となるでしょう。
通信キャリア 今後の展望【深読みリサーチ】
解説は山和証券の志田憲太郎氏。
あなたのスマートフォンを提供している通信キャリア。最近は携帯電話サービス以外にも、様々な事業を展開しているのをご存知でしょうか?特に注目されているのが、金融サービス「フィンテック」への進出です。
山和証券の志田憲太郎氏によると、通信キャリア各社が金融事業に力を入れているのには理由があります。
「スマホの加入者数が頭打ちになり、通信料収入も伸び悩む中、各社は新たな収益源としてフィンテックに活路を見出そうとしているのです」
例えば、ドコモは「dカード」「dポイント」「d払い」が好調。さらに「ドコモスマホローン」を開始し、オリックスクレジットを子会社化することで金融事業を強化しています。auも「auじぶん銀行」の住宅ローンが驚異的なペースで融資を伸ばしています。ソフトバンクは「PayPay」を中核に金融サービスを拡大中です。
しかし、この中で一風変わった存在なのが楽天。志田氏はこう指摘します。
「楽天は通信事業の楽天モバイルが赤字に苦しむ一方、金融事業は絶好調。グループ全体の利益を支える柱になっているのです」
楽天の課題は、いかにモバイル事業を黒字化できるかという点。志田氏は、株式市場の観点からこう分析します。
「仮にモバイルが黒字化できれば、楽天は年間2000億~3000億円の利益を稼ぐ企業に生まれ変わります。1株あたりの利益を現在の株価で割ると、投資指標のPERは13倍~9倍。EC事業とフィンテックの成長性を考えれば、かなり割安だと言えるでしょう」
ただし、楽天モバイルの黒字化シナリオは市場の懸念材料でもあります。
「契約回線数が800万~1000万、『ARPU』つまりユーザー1人あたりの売上高が月2500円~3500円に達することが黒字化の条件。来年度中の達成を目指していますが、それまでは資金繰りへの不安が株価の重しとなる可能性もあります」
5GやDXの普及で、通信インフラの重要性は一層高まっています。同時に、通信キャリア各社の事業モデルは大きな変革期を迎えているとも言えるでしょう。志田氏はこう展望を示します。
「今後は、モバイルをはじめとする通信サービスと、フィンテックなどの新規事業をどう融合できるかが、各社の明暗を分けることになるはずです。特に楽天の動向は注目に値します。シナリオ通りにモバイルが黒字化できれば、株価の再評価が進む可能性もあるでしょう」
通信キャリア各社の今後の展開からも目が離せないですね。
要点まとめ
- 通信キャリアは飽和したモバイル市場に代わる収益源として、フィンテックに注力
- ドコモ、au、ソフトバンクは金融サービスを着実に拡大
- 楽天は通信事業の赤字が課題も、金融事業は絶好調で利益の柱に
- 楽天モバイルの黒字化で株価の再評価の可能性。契約回線数とARPUの推移がカギ
- 通信サービスとフィンテックの融合が、今後の通信キャリア各社の明暗を分ける