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米FRBパウエル議長の発言
- 利下げ判断には「データを精査する時間がある」と述べた。
- 政策の転換を急がず、インフレの減速傾向を見極める姿勢。
- 年内に利下げが可能だが、インフレ率の持続的低下を確信するまでは実施しない。
アトランタ連銀のボスティック総裁の発言
- 利下げ開始の適切な時期は2023年の10月から12月。
- インフレの減速ペースが想定より緩やかなため、2024年の利下げは1回に留まる見通し。
米民間雇用の状況
- 3月の民間雇用者数は市場予想を上回り、18万4,000人増加。
- 「レジャー・接客業」が特に増加し、全体を押し上げた。
ユーロ圏の消費者物価
- 3月の消費者物価指数は前年比2.4%上昇。
- 伸び率は3カ月連続で縮小し、市場予想を下回った。
ニュースの要約
アメリカの経済政策について、FRBのパウエル議長は利下げに慎重な姿勢を示しました。パウエル議長によると、利下げの判断にはまだ時間があり、データを精査してインフレの動向をじっくりと観察する必要があるとのことです。
インフレが最近上振れしているにもかかわらず、年内に利下げを行う可能性は残されているものの、インフレ率の持続的な低下に自信を持つまでは実施しない方針です。
一方、アトランタ連銀のボスティック総裁は、インフレの減速ペースが緩やかであることから、利下げの開始時期は2023年の後半が適切であると述べています。また、2024年の利下げは1回にとどまるとの見通しを示しました。
米国の雇用状況に目を向けると、ADPによると3月の民間雇用者数は市場予想を上回る増加を見せました。特に「レジャー・接客業」の伸びが目立ち、経済の底堅さを示しています。
ヨーロッパでは、ユーロ圏の3月の消費者物価指数が前年比で2.4%上昇し、伸び率が3カ月連続で縮小するなど、インフレ圧力の和らぎが見られました。
【NY市場リポート】パウエル氏発言で相場は
解説はマキシム・グループの久野誠太郎氏
米国の経済を牽引する重要な指標や発言が相次ぎ、投資家たちはその一つ一つに注目しています。特に、FRBのパウエル議長の発言は、市場に大きな影響を与えることが知られています。では、最近のNY市場での動向を見てみましょう。
パウエル氏の発言と市場の動き
先日、パウエル氏は利下げを急がない姿勢を示しました。市場はこの発言をどう受け止めたのでしょうか?
パウエル氏の発言は、年内に3回の利下げがあるという市場の期待を大きく変えるものではありませんでしたが、意見は分かれている様子。
一部のFRBメンバーは早急な値下げを警戒していることが伺えます。しかし、アトランタ連銀のボスティック総裁は、アメリカ経済の底堅さを踏まえ、年内に1回の利下げを予想しています。
株式市場の反応
一方で、株式市場では、特に企業利益の見通しがポジティブな影響を与えています。2024年には11%の増益が予想されており、インフレの再加速や景気の予想以上の落ち込みがない限り、市場は引き続き堅調な動きを見せると考えられています。
米3分割完了 新生GEに注目
複合企業であったGEの3分割完了は、業界にとっても注目のニュースです。これにより、航空機部門のGEエアロスペース、電力部門のGEベルノバ、ヘルスケア部門のGEヘルスケアが独立した企業として歩み始めました。
特にGEベルノバに対する期待は大きく、その主力である発電事業が注目されています。しかし、電化事業も重要なポイントで、脱炭素化に向けた移行の中心となるでしょう。
GEベルノバの電化事業への期待
GEベルノバの電化事業は、送電網の効率化や脱炭素化を推進する上で重要な役割を担っています。2024年の売上高見通しでは、10%台前半の成長が予想され、市場規模は2030年には現在の倍以上に拡大すると見込まれています。
これは、AIブームや政府主導の半導体製造業の内政化、電気自動車ネットワークの拡大など、多くの要因によって支えられています。
【為替見通し】ドル高・円安の構造的要因は変わらず、上昇圧力続く
解説はふくおかフィナンシャルグループの佐々木融氏
- ドル円予想レンジ:151.20~152.0円
- 注目ポイント:ドル高・円安要因
ふくおかフィナンシャルグループの佐々木融氏は、「ドル高・円安の構造的要因は変わっておらず、上昇圧力が続くだろう」と予想します。
■ドル高の背景には、アメリカ経済の優位性
2021年から続くドル高の背景には、保護主義的政策を背景としたアメリカ経済の「一人勝ち」とも言える状況があります。また、コロナ禍で急増したマネーストックにより、金利が上昇しても経済やインフレの鈍化が見られないことから、FRBは容易に利下げに踏み切れない状況にあるとのことです。
佐々木氏の分析によると、年末までのFF金利(フェデラルファンド金利)の織り込み度合いが低下するにつれ、ドル円レートが上昇する傾向が見られます。仮に市場が「今年利下げはない」と判断した場合、ドル円は154円まで上昇する可能性があるそうです。
■円安を助長する日本の貿易赤字
一方、円安の構造要因としては、日本の実質金利のマイナス圧力や日銀の金融政策の制約など、複合的な要因があります。中でも佐々木氏が注目するのは、原油価格の上昇が日本の貿易収支に与える影響です。
日本の輸入額の約1割を占める原油価格は、現在円建てで見ると2022年の平均を上回る水準まで上昇しています。円安と原油高のダブルパンチにより、貿易赤字のさらなる悪化が懸念されます。
■ドル高・円安トレンドは当面続く公算大
佐々木氏は、「構造的なドル高要因と円安要因は全く変わっていないため、引き続きドル高・円安圧力は続くだろう」と予想します。今日の予想レンジは、1ドル=151円20銭から152円の間。明日の雇用統計を控え値動きは限定的となりそうです。
【株価見通し】高配当と安定配当の両にらみが有効な投資戦略に
解説は岡三証券の小川佳紀氏
- 日経平均予想レンジ:39,700~40,100円
- 注目ポイント:高配当も大事だが安定配当も大事
「投資で大切なのはリターン」―そんなイメージがありますが、配当に着目することで、株式投資の新たな魅力が見えてきます。岡三証券の小川佳紀氏は、「高配当株だけでなく、安定配当株にも注目すべき」と指摘します。
■日経平均vs高配当株、長期では高配当株が大幅に上回る
株式投資における配当の重要性は、データが雄弁に物語ります。過去3年間のパフォーマンスを比較すると、日経平均株価を上回るリターンを示したのが「日経平均高配当株50指数」。この指数は、予想配当利回りが高い銘柄で構成されています。
つまり、単に株価の上昇を狙うだけでなく、高い配当を得ることでトータルリターンを高めることができるのです。
■業績・配当安定の「累進配当銘柄」にも注目
ただ、小川氏は「高配当株は魅力的だが、業績次第で配当が変動するリスクがある」と言います。そこで着目したいのが、10年以上減配せずに安定的に配当を払い続けている「累進配当銘柄」です。
その代表例とされる「日経累進配当株指数」の過去3年間のリターンは、高配当株50指数に匹敵する水準。銀行や医薬品など、景気変動の影響を受けにくい内需関連企業の比重が高いことが特徴です。
■新NISAで高まる配当投資への関心
2024年から、新NISAがスタートしました。配当に対する税制優遇措置が設けられたことで、個人投資家の間で配当投資への関心が一段と高まっているそうです。
小川氏は、「高配当だけでなく、安定配当の視点を持つことで、より効果的な投資戦略になる」と語ります。株式投資の妙味は値上がり益だけではありません。増配や安定配当を武器に、長期でコツコツとリターンを積み上げていく投資スタイルが注目を集めています。
景気の先行きに不透明感が漂う中、「配当」を一つの判断材料として銘柄選択に生かしていくことは、投資家にとって重要なアプローチと言えそうです。
皆さんも、高配当や安定配当の視点を意識して、投資戦略の幅を広げてみてはいかがでしょうか。「配当貴族」と呼ばれる銘柄群から、新たな投資のヒントが得られるかもしれません。
マイナス金利政策撤廃後の長期金利の行方【プロの眼】
解説は東海東京証券の佐野一彦氏
最近ニュースで「マイナス金利政策の撤廃」というフレーズを耳にしたことはありませんか?一体どういうことなのか、私たちの生活にはどんな影響があるのでしょうか。
■日銀の政策変更も、長期金利は安定的に推移
3月19日、日本銀行はマイナス金利政策とYCC(長期金利の変動を一定の範囲に収める政策)を撤廃しました。しかし、この政策変更後も日本の10年国債利回りは比較的安定的な動きを見せています。
佐野氏は、この背景として以下の3つの理由を挙げています。
- 短期金利の引き上げ幅が小さく、市場への影響は限定的
- 日銀が当面、長期国債の買い入れ額を現行水準(月6兆円程度)で維持する方針
- 4月からの国債発行額の減少により、国債需給は引き締まる方向
つまり、日銀は金利上昇をコントロールしながら、徐々に政策変更を進めているというわけです。
■再利上げのカギは物価見通しと景気動向
とはいえ、日銀が追加利上げに踏み切れば、長期金利の上昇は避けられません。佐野氏は、日銀が再利上げに動く条件として、以下の2点を挙げています。
- 市場の予想物価上昇率が2%に向けて上昇する
- 日米経済が減速しない
現在の予想物価上昇率は1.3%程度。日銀の目標である2%までは、まだ距離があります。一方で、日米ともに今年の経済成長率は昨年から減速する見通し。再利上げのハードルは高そうです。
■設備投資への影響は限定的?
金利上昇は、企業の設備投資を抑制するのでは?という懸念の声もあります。しかし佐野氏は、「企業の借り入れは長期金利よりも短期金利の影響を受けやすい」と指摘。
日銀は引き続き短期金利を低く抑える方針であり、設備投資への悪影響は限られるとの見方を示しています。
佐野氏の見立てでは、日銀が再利上げを見送れば、10年国債利回りは1%を下回る水準で安定的に推移。再利上げに転じた場合でも、上昇幅は1.25%程度にとどまるとみています。
金利は私たちの生活とも密接に関わるテーマです。住宅ローンの返済額や、預金・保険の運用利回りなどにも影響してきます。日銀の金融政策の行方から目が離せません。経済の動きを注意深く見守りつつ、自分なりの資産形成戦略を考えていきたいですね。
本日の特集
注目ポイント
- 業績回復の要因:光ケーブル需要の増加が主因。
- 今後の成長ドライバー:生成AIの技術進展によるデータセンター向け投資拡大。
- 株主還元策:業績好調を背景に期待されるが、自己資本比率の改善と必要投資を優先。
業績回復の背景と未来への期待
コロナ禍での業績悪化を経て、株式会社フジクラが著しい回復を遂げています。2020年3月期には過去最大の赤字を記録しましたが、その後の業績は急回復し、2023年3月期には3期連続での過去最高益を更新する見通しです。
この株価の上昇と業績回復の背景には、データセンター向け光ケーブルの需要の底堅い推移があります。株式会社フジクラの岡田直樹社長は、「当社の光ケーブルは高い柔軟性を持ち、大容量データ通信に最適であるため、需要が増加している」と分析しています。
さらに、岡田社長は、今後の成長の大きなドライバーとして、生成AIの発展に注目しています。具体的には、「アルファベットやマイクロソフトといった企業が、生成AIの開発のためにデータセンターへの投資を拡大しており、これが当社の製品需要をさらに押し上げることになるだろう」と述べています。
業績が好調なことから、株主還元の拡充に対する期待も高まっています。しかしながら、岡田社長は「自己資本比率の改善と必要な投資を優先した上で、余力があれば株主還元を検討したい」と慎重な姿勢を示しています。
株式会社フジクラは、光ケーブルの需要拡大や生成AI技術の進展を追い風に、今後も成長を続ける見込みです。同時に、投資と株主還元のバランスを見極めながら、持続可能な成長を目指しています。